安養寺 (宇治市)
Anyo-ji Temple
安養寺 安養寺
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スイレン


本堂



 山門より石段を上ると、宇治市を望む高台に安養寺(あんようじ)はある。山号院号は羽戸山大鳳院という。
 旧地は現在地の西南方向、羽戸(はど)にあった。大鳳院とは現在地付近にあった古代寺院の大鳳寺(たいほうじ/だいほうじ)に由来する。
 浄土宗、本尊は阿弥陀如来像。
◆歴史年表 創建の詳細、変遷は不明。
 当初は、現在地の西南、宇治川に近い羽戸に創建される。天台宗だった。その後、洪水などで荒廃したという。
 室町時代、1538年、京都より戦火を逃れた念仏修行僧・助心は、羽戸の無住の寺に一夜の宿を取る。村人に法然の念仏の教えを説いた。天台宗より浄土宗に改めたことに始まるという。
 江戸時代、1607年、助心が亡くなり、その弟子・助行、助龍が継いで住した。
 1685年、羽戸より現在地、大鳳寺村に移る。村の茶師の帰依により、格式高い寺として栄えた。僧・盤察は、知恩院より中興の号を贈られた。
 1730年、宇治川の大出水により堂宇すべてを流失した。
 近代、1868年以後、廃仏毀釈により10年間無住になる。その後、崇林寺、宝善庵、正善院、大善庵の末寺を合併した。
 1879年、崇林寺、宝善庵を合併したともいう。
 現代、2006年、本堂が再建された。
◆助心 安土・桃山時代-江戸時代の浄土宗の僧・助心(?-1607)。詳細不明。念誉助心。1538年、25歳の時、安養寺を中興した。93歳。
仏像 ◈阿弥陀三尊の「阿弥陀如来立像」(77.8cm)は、南北朝時代-室町時代作という。かつて崇林寺の本尊という。来迎印を結ぶ。螺髪に旋毛を刻み、髪際線は中下りになる。足元の裾は古式を模している。両手足先、光背、台座は後補による。台座底部に、江戸時代、「寛文十二年(1672年)」の修理銘が入る。
 ◈「地蔵菩薩立像」(68.8cm)は、江戸時代作であり、黄檗様になる。大鳳寺村の北方、福清寺(小字上野)は、江戸時代、寛文年間(1661-1673)に黄檗宗に所属したという。後に、当寺に遷されたともいう。
 ◈木造「地蔵菩薩立像」(97cm)(宇治市指定文化財)は、平安時代末期-鎌倉時代初期の作になる。平安時代の小野篁(802-852)の作ともいう。「北向地蔵」「延命地蔵」とも呼ばれ、脚気に効験あるとされた。右手に錫杖、左手に宝珠を持つ。痩身で衣文の数は少ない。藤原時代の様式とともに、細い顔だちに、次の鎌倉様式の萌芽が見られる。木造、寄木造、彫眼、古色。
 ◈木造「阿弥陀如来坐像」(49.5cm)(宇治市指定文化財)は、平安時代、10世紀の作による。かつて正善庵の本尊だった。江戸時代、1664年の墨書が台座天板裏にあった。定印を結ぶ。両手の一部、両足部を除き、檜材とみられる一材により彫出し、内刳も施さない。胸を張り、厚みのある膝を張り出して坐す。衣文も簡略化されている。
◆建築 本堂、観音堂、地蔵堂が建つ。
◆文化財 鎌倉時代の絹本着色「阿弥陀三尊来迎図」(縦80.5×横38.1cm)1幅は、「斜来迎図」と呼ばれる。金色の像に截金文様が施されている。箱書に25世・来誉の時に納められたとある。 
◆羽戸 当寺の旧地、羽戸(はど)院は、五ヶ庄南部より宇治乙方(おちかた)の宇治側右岸付近と見られている。この羽戸とは、波戸場、港津を意味した。
 羽戸院は、13世紀初め、宇治川右岸の港津、三室津と関わったという。中世、近衛家の家領になり、藤原氏の別業「羽戸院」があった。羽戸は羽戸院の一部に当る。
◆大鳳寺 安養寺は、旧大鳳寺(たいほうじ)村にある。大鳳寺とは、宇治市菟道西中(とどう にしなか)にあった古代寺院をいう。飛鳥時代-奈良時代の行基(668-749)の創建によるという。また、奈良時代、大宝年間(701-704)に創建されたともいう。中世(鎌倉時代-室町時代)以降、衰退、廃寺になったとみられている。
 1971年、付近の遺跡確認調査により、瓦積基壇(長さ15m、高さ70cm)が発見された。出土した軒丸瓦は、白鳳時代のものとみられている。川原寺式、東大寺八葉複弁蓮華文に酷似していた。さらに、奈良時代後期の平瓦も出土し、その頃に修復が行われたとみられる。
 周辺の山本瓦窯跡からは川原寺式の当寺と同笵の軒丸瓦も出土している。
◆年間行事 涅槃会(2月15日)、彼岸会(3月21日)、墓供養回向(8月2日-7日)、棚経(8月2日-15日)、盆施餓鬼(8月11日)、地蔵盆(8月23-24日)、彼岸会(9月23日)、十夜法要(11月14日)。
 
    
*年間行事は中止・日時・内容変更の場合があります。
*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
*参考文献 当寺のサイト、「安養寺のあゆみ」、『京都府宇治郡誌』『京都府の地名』『京都・山城寺院神社大事典』『昭和京都名所図会 7 南山城』


 
  関連・周辺    周辺    関連      

地蔵菩薩立像(宇治市指定文化財)

地蔵菩薩立像

阿弥陀如来立像

阿弥陀如来坐像(宇治市指定文化財)

涅槃図、江戸時代作

阿弥陀三尊来迎図
大鳳寺瓦片という。

鐘楼

小野篁作という地蔵

織部燈籠

十三重塔

旧街道筋の家並
安養寺 〒611-0013 京都府宇治市莵道東中   0774-22-5330   
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