願成寺 〔東福寺〕 (京都市東山区)
Ganjo-ji Temple

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 東福寺境内の南に塔頭・願成寺(がんじょうじ)がある。「願成就寺」「苦労消除の寺」とも呼ばれている。山号は阿保山(あぼざん)という。 
 臨済宗東福寺派。本尊は釈迦如来。
 様々な苦を消除する寺としての篤い信仰を集めている。
◆歴史年表 平安時代、第51代・平城天皇第1皇子・一品阿保親王(792-842)の建立によるという。また、その霊を鎮魂する寺院として創建されたともいう。当初は現在地の南、伏見稲荷付近(伏見区深草願成町)にあり、天台宗だったという。
 鎌倉時代、1303年、南洲宏海(なんしゅう こうかい)が再建し、臨済宗に改めた。また、東福寺開山・聖一国師(円爾弁円)が再建し、臨済宗に改め、南州宏海を勧請開山としたともいう。
 室町時代、3代将軍・足利義満(在職1368-1394)は、当寺を京師十刹の一に列した。以後、寺運隆盛になる。
 中世(鎌倉時代-室町時代)、兵火に遭い荒廃する。
 江戸時代中期、寛永年間(1748-1751)とも、東福寺山内に移転し、その塔頭になる。隣接していた仏通禅師(癡兀大慧)開山の塔頭・大慈庵(大慈院)を合併した。
 現代、2000年、現在の庫裏、本堂、前庭の大改修が行われる。
 2004年、現在の親王堂が完成する。
◆阿保親王
 平安時代前期の皇族・阿保親王(あぼ しんのう、792-842)。第51代・平城天皇の第1皇子。母は葛井藤子、5男に在原業平、妃は伊都内親王(第50代・桓武天皇皇女)。809年、四品に叙せられる。810年、父・平城天皇、弟・第52代・嵯峨天皇の皇位争い、平城太上天皇の変(薬子の変)に連座し大宰権帥に左遷された。824年、嵯峨天皇により入京を許される。826年、子・行平、業平らに在原朝臣姓を賜与、臣籍降下させる。827年、上総太守に任ぜられる。833年、三品に叙せられ、上野太守、治部卿、兵部卿、弾正尹などを歴任した。842年、嵯峨天皇系と第53代・淳和天皇系の皇位争い、承和の変で橘逸勢らに与しなかった。変後に急死した。心痛によるともいう。842年、贈一品。文武、絃歌に優れた。 
 墓所といわれるものは各所にあり、京都では願成寺の山門内に塚と宝篋印塔が立つ。旧地付近の伏見区深草正覚町にも塚といわれるものがある。
◆南洲宏海 鎌倉時代の臨済宗の僧・南洲宏海(なんしゅう こうかい、?-1303)。出家後、宋に渡る。帰国後、鎌倉・建長寺の兀庵普寧(ごったん ふねい)に師事、その法嗣になる。1281年、鎌倉・浄智寺の開山に招かれた。師・大休正念を開山に立てたが、大休は兀菴普寧を推した。諡号は真応禅師。
◆円爾弁円
 鎌倉時代の僧・円爾弁円(えんに べんえん、1202-1280)。駿河国に生まれた。久能山の堯弁に天台教学を学ぶ。1219年、園城寺で得度、奈良・東大寺で具足戒を受けた。上野国・長楽寺の栄朝から禅を学び、久能山、鎌倉・寿福寺へ移る。1220年、京都へ入り、1223年、園城寺に戻った。1235年入宋して律、天台、径山万寿寺の臨済宗・無準師範などに臨済宗楊岐派を学ぶ。1241年、帰国、博多・崇福寺、承天寺、肥前・万寿寺などを開山した。1243年、東福寺に招かれる。建仁寺に入り1258年、再興した。1269年、東大寺大勧進職。朝廷、鎌倉幕府の帰依を受ける。第88代・後嵯峨天皇、第89代・後深草天皇、亀山上皇(第90代)に大乗戒を授けた。天皇より与えられた国師号「聖一国師」(1311)はその初例になる。
 宋より多くの仏典、典籍を持ち帰る。製粉機械の図を伝え製麺を起こした。杭州径山の茶種を持ち帰り、静岡茶の茶祖とされている。多くの弟子を育てた。東福寺・普門院に住した。
◆痴兀大慧 鎌倉時代の臨済宗の僧・痴兀大慧(ちこつ だいえ、1229-1312)。伊勢の生まれ。平清盛の子孫という。比叡山に上がる。天台、真言二宗を学ぶ。東福寺・円爾に論破されその弟子になる。伊勢・安養寺、大福寺の開山。1272年、円爾の『大日経講義』を筆録した。1311年、東福寺9世住持。諡号は仏通禅師。
◆木像 親王堂内の阿保親王像、一品阿保親王の位牌が祀られている。
◆文化財 鎌倉時代、1301年の自賛がある絹本着色「仏通禅師(痴兀大慧)像」(重文)。京都国立博物館寄託。
 鎌倉時代、1312年の痴兀大慧の墨蹟「遺偈」(重文)。京都国立博物館寄託。
◆墓 境内山門内に阿保親王塚とされるものがある。その前に宝篋印塔が立つ。
◆花暦 庭園にしだれ桜がある。四季折々の花が植えられている。
◆年間行事 苦労消除祭(浄火苦集滅御祭)(「苦労お預かり書」という巻物に1つだけ「苦」を書きこれを寺に納める。祭りの当日、巻物は願成寺の親王堂前に置かれ読経の後、奈良洞川真言宗醍醐派大本山、大峰山・龍泉寺よりの導師、山伏修験者らが東福寺山内を練り、諸堂で読経が行われる。親王堂前では巻物・護摩木による大護摩焚供養が修される。最後に火渡りの行があり無病息災を祈る。)(11月3日)。


*年間行事(拝観)などは、中止・日時・内容変更の場合があります。
*参考文献 『京都の禅寺散歩』『旧版 古寺巡礼京都 18 東福寺』『京都・山城寺院神社大事典』、当寺サイト


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庫裡

庫裡

玄関

親王堂

親王堂


境内の阿保親王の墓

境内の阿保親王の塚

【参照】阿保親王の塚(伏見区深草正覚町)

【参照】阿保親王
願成寺 〒605-0981 京都市東山区本町15丁目807番地  075-531-8504 

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