法蔵寺 (法蔵禅寺) (京都市右京区)
Hhozo-ji Temple
法蔵寺 法蔵寺
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「憂きことも嬉しき折も過ぎぬればただ明けくれの夢ばかりなる」尾形乾山、辞世。




「春日潜庵先生之墓」の石標



 法蔵寺(ほうぞうじ)は、法蔵禅寺(ほうぞうぜんじ)とも呼ばれる。山号は海雲山という。境内は、江戸時代の京焼の名工・尾形乾山(おがた けんざん)の旧宅跡であり、窯跡も残されている。 
 黄檗宗、本尊は観音菩薩。
◆歴史年表 この地はかつて、二条家の山屋敷だった。
 江戸時代、1699年、陶芸家・尾形乾山は、公卿・二条綱平(1672-1732)よりこの地を譲り受ける。
 1712年まで、乾山はこの地に鳴滝窯を開く。
 1731年、1733年、1721年とも、中興・初代となる百拙元養は、近衛家煕の帰依により、書人・儒者の桑原空洞(1673-1744)の旧宅(現在地)を譲り受ける。法蔵寺は、紀伊郡竹田村(伏見区)にあり、その寺籍を譲られ、現在地に移した。大随玄機を開山祖師とし、大黄檗宗とした。以後、近衛家の菩提寺になる。
 1739年、金堂が完成した。
◆百拙元養  江戸時代の黄檗宗の僧・百拙元養(ひゃくせつ げんよう、1668-1749)。京都に生まれた。幼くして両親を失い、15歳で臨済宗の東海祖津により出家した。師と共に鎌倉を経て、黄檗宗南禅寺塔頭・帰雲院に移る。大随玄機、天王山仏国寺・高泉性とんに師事、高泉に伴い萬福寺に移る。1696年、大随に嗣法され、1705年、紫野に楊岐庵を構えた。1715年、仏国寺住持、1718年、但馬・大雲山興国寺住持、大和・宝寿山龍象寺を復興した。1740年、萬福寺首座になる。法蔵寺で亡くなる。書画、詩歌、茶味道に通じた。  *高泉性とんの「とん」は、サンズイ+敦
◆近衛家煕 江戸時代中期の公卿・近衛家煕(1666-1736)。近衛基煕の長男に生まれた。関白・太政大臣、三宮に准じ、後に出家した。有職故実に通じ、茶の湯、立花、香、書画にも秀でた。号は予楽院など。
◆尾形乾山
 江戸時代中期の陶芸家・尾形乾山(おがた けんざん、1633-1743)。京都の呉服商・雁金屋(かりがねや)・尾形宗謙の三男。次兄に尾形光琳。本阿弥光悦と血縁になる。1687年、父の遺産を相続した。1688年、双ヶ丘東に住む。1689年、双ヶ丘麓で、黄檗禅の独照性円に師事する。鷹峯光悦村の光悦孫・空中斎光甫に陶芸を学ぶ。御室窯の2代目・野々村仁清に学ぶ。仁和寺門前で草堂「習静堂」を構え、陶芸に打ち込む。1699年、仁和寺、二条家、仁清の支援を得て、1700年、鳴滝泉谷で窯(泉谷窯)を開く。この地が御所の乾(西北)にあたり、作品に「乾山」の銘を記し、号とした。住居「尚古堂」も号とした。(「鳴滝乾山」)。1711年、兄との合作陶器を焼く。1712年、鳴滝の窯を閉め、二条丁字屋(麹屋町東入ル)に移り焼物商売を始める。(「二条乾山」)。1731年、江戸入谷に移り窯を開く。(「江戸乾山」)。1737年、下野国佐野に招かれた。京都に戻らず入谷で亡くなる。墓は、西巣鴨・善養寺、京都・妙顕寺にある。
 伊藤仁斎に漢学を学ぶ。文学を好み、直指庵・独照に禅を学ぶ。作品は、兄・光琳が絵付し、乾山が作陶と画賛を行った。押小路焼の中国渡来の交趾(こうち)釉法と、仁清の釉法とを融合する。オランダ風、染付、錆絵なども取り入れた。光琳派風の陶画を主調とした。双ヶ丘山人とも号した。
桑原空洞 江戸時代末期-近代の儒者・桑原空洞(1673-1744)。京都に生まれた。儒者・合田晴軒(1638-1722)に学び、私塾を開く。中国歴代の書を研究し、書学に通じた。
◆春日潜庵 江戸時代末期-近代の儒者・尊攘派志士の春日潜庵(1811-1878)。筑前守・春日仲恭の子として京都に生まれる。久我家諸大夫、讃岐守。陽明学を諸藩の士に教えた。1858年、安政の大獄により永押込となり、1862年、赦免される。西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允、梁川星巌らと親交があった。東久世家の家事兼掌、1868年、奈良県知事となる。晩年は教育に関わる。法蔵寺に墓地がある。
◆建築 「方丈」は、予楽院(近衛家煕)の旧殿であり、永代祈願所として寄進したものを改めたものという。
◆文化財 近衛家煕の念持仏だった「観音菩薩像」、元養の自画自賛像、黄檗高泉像、釈迦・文殊・普賢・十六羅漢図19幅、七条仏師作の十六羅漢像、鳴滝時代の乾山の陶片がある。
◆遺跡 境内は、尾形乾山の旧宅地だった。背後の山腹墓地に、乾山の窯跡がある。窯は、江戸時代、1699年-1712年まで開いていたという。付近より椀、皿、窯道具、窯体片などが出土した。作陶用の井戸も残る。
◆墓 江戸時代の僧・百拙元養、江戸時代末期-近代の儒者・尊攘派志士の春日潜庵の墓がある。
◆修行体験 ちょっと坐る会(坐禅)(第1土曜日8:00-9:20、休会は1・.8月)。


*非公開
*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
*参考文献 『京都・山城寺院神社大事典』『日本の古代遺跡28 京都Ⅱ』『続・京都史跡事典』 『新選組と幕末の京都』『京都隠れた史跡100選』『洛西探訪』『日本のやきもの 京都』 『こころ美しく京のお寺で修行体験』『週刊 日本の美をめぐる 9 洗練の極致 光琳と琳派』


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山門

山門、「海雲山」の扁額

山門

鎮守社
 法蔵寺 〒616-8253 京都市右京区鳴滝泉谷町19  075-463-4159
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