縣神社 (宇治市)
Agata-jinja Shrine
縣神社 縣神社 
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拝殿

 平等院の南西近くに縣(県)神社(あがた じんじゃ)はある。一帯は「県の森」とも呼ばれている。
 祭神は、木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。また、弓削道鏡、藤原道長ともいう。菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)の母・宮主矢河枝比売(みやぬし やかはえひめ)ともいう。 
 一事一願成就、良縁、安産、子授けなどの信仰がある。江戸時代中期より伝わる伝来人形が授けられる。
◆歴史年表 創建、変遷の詳細は不明。
 古くよりの地主神という。
 また、古墳時代、大化前代(6、7世紀)、大和政権の政治と祭祀に重要な位置を占めていた直轄領・栗隈県(くりくまあがた)の守護神として創建されたともいう。
 また、平安時代、1052年、平等院の創建に伴い、その裏鬼門に鎮守社として建立されたともいう。永承年間(1046-1053)、藤原頼道により勧請されたともいう。
 社名も、直轄領・宇治県(うじあがた)に由来しているとも、木花開耶姫命の別名である吾田津姫(あがたつひめ)の転訛に由来するともいう。
 平等院内天台宗に関連する県明神が祀られ、神主は近江の園城寺(三井寺)・円満院の関係者である奥村家であったともいう。
 近代以前、春の大祭には円満院の院主が当社で護摩法要を行っていたという。
 近代、1868年、神仏分離令後の廃仏毀釈により、三井寺から独立した。さらに本地仏は、平等院内最勝寺に遷されている。 
◆あがたの院 平安時代、藤原道綱母『蜻蛉日記』(975)の初瀬詣でに「あがたの院」が登場する。
 また、歌枕「県井」は境内にあった井戸ともいう。現在、境内には近世に奉納された「県井」の蹲踞がある。
◆建築 拝殿背後の本殿は、一間社流造、檜皮葺、千鳥唐破風、江戸時代に再建された。
 拝殿は、1936年に建てられている。
◆平等院 当社は平等院の地主神として祀られている。同様な社に宇治神社、宇治上神社があり、これらは平等院、宇治川を挟んでほぼ一直線上に建てられている。
年間行事 奇祭・縣祭(6月5日)は江戸時代に始まったといわれる。ただ、祭りが現在のように梵天が渡御する形となり、盛大なものとなったのは近代以降のことという。
 午後11時頃、宇治神社の御旅所から、明かりが消された中を、「梵天」という依代を乗せた御輿と雌獅子・雄獅子の各御輿が縣神社まで渡御する。梵天は、1600枚もの奉書紙を短冊状に切って束ねた御幣を青竹に挟みこんだ約2mほどの球形で、重さは約50kgある。縣神社では、神霊が梵天に移され、再び御旅所へ向かう。その後、梵天は縣神社に戻る遷幸祭が行われる。近年、梵天が2基出ている。縣神社のものと縣神社に渡御しない県祭奉賛会(兵庫、大阪の氏子)のものとがあり、祭りは分裂して行われている。
 大幣神事(6月8日、午前10時~)は、平安時代から伝えられているという。日本古来の祓いの祭礼とされている。起源は、平安時代中期、別邸を平等院に改めた公卿・藤原頼通(992-1074)が宇治で政務を取る頃といい、厄祓い、五穀豊穣、疫病退散祈願に始まるという。神事の祭神である八衡比古(やちまたひこ)・八衝比売(やちまたひめ)・久那斗神(くなどのかみ)、奏上する祝詞は、延喜式の「道饗祭」(みちあえのまつり)のものと同じという。道に神を祀り、災禍、疫病が土地に入らぬことを祈念する。平等院、法興院(廃寺、あがた通中央東)、法恩院、知恩院(廃寺、縣神社東隣)により挿頭(かざし、草花)を賜り、縣神社社家代々が神事を司ってきた。また、大幣座が組織され、神事をいまも伝えている。
 当日、巡行する主なものは、先払の「猿田彦面」、大幣の上に笠三枚を差し、松の小枝と御幣を付した大幣を呼ぶための「傘御幣」、幣帽をいただく「騎馬神人」、雨を呼ぶ念珠を持つ特異な「杓矛風流傘」、「七度半の使者」など。巡行に先立ち、大幣殿で祝詞奏上などの儀式が行われ、宇治橋畔で再度、祝詞(大幣神事宇治橋祝詞)が奏上される。宇治神社御旅所前から一の坂下までの「馳馬の神事」の後、再び出発点の大幣殿に戻る。大幣を地上に落とし、引摺りながら宇治橋に向って縣通を走り、宇治橋上から大幣を川に流す。この際に、騎馬神人が大幣を追って宇治橋に至り、大幣を奉持していた者と落合って神事は終る。また、祭りの特殊な神餞として伝えられる梅実とわかめは、疫病除けの効験があると伝えられている。中世、祭りには、大幣座、獅子座などの宇治猿楽が桟敷を組んで社務(能楽の源流)を催していたという。現在は、桟敷町の町名に名残りがある。鎌倉時代から室町時代にかけては、盛大な祭事であったとみられている。
 祭りにはかつて「かがい(歌垣)」の風習があったという。闇の中で求愛のために男女が集い、歌い合い、踊った。
◆年間行事 縣祭(6月5日)、大幣神事(6月8日)、献茶祭(茶の収穫に感謝し神前に茶を供える。口切式。)(11月5日)。


*年間行事は中止・日時・内容変更の場合があります。
*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。 
*参考文献 『京都・山城寺院神社大事典』『京都の寺社505を歩く 下』『私の古寺巡礼』


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本殿

本殿

東位稲荷大明神

東位稲荷大明神

天満宮

祖霊社

梵天

大幣

椋の木、高さ26m、幹回り4.4m、樹齢500年
縣神社 〒611-0021 宇治市宇治蓮華72   0774-21-3014
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