矢田寺 (矢田地蔵尊) (京都市中京区) 
Yata-dera Temple
矢田寺 矢田寺
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送り鐘



しあわせ大日如来
 寺町通に面して矢田寺(やたでら/やたじ)がある。矢田地蔵、生身(いきみ)地蔵ともいわれている。正式には、金剛山(こんごうさん)矢田寺と号する。
 西山浄土宗。本尊は地蔵菩薩(矢田地蔵、代苦地蔵)。 
 洛陽四十八願所地蔵めぐり(京都四十八願寺)の第28番札所、札所本尊は地蔵菩薩(矢田地蔵、代苦地蔵)。
 地蔵尊は、一度詣でることにより10種福、除8大恐怖、28種のご利益を得るという。「愛の願掛け地蔵」と呼ばれ良縁成就、縁結びの信仰篤く、所願成就、安産守護、学業成就、病代受苦、病気平癒、土地豊穣、家宅永安、子孫繁栄、水子供養などの信仰がある。
◆歴史年表 創建、変遷の詳細は不明。
 平安時代、845年、大和国・矢田山金剛山寺(こんごうせんじ)の別院として、五条坊門(綾小路町尻、下京区)に創建されたという。開山は矢田山金剛山寺の満慶(まんけい)による。(寺伝)
 南北朝時代、1359年、綾小路西洞院矢田町で復興される。
 室町時代、1417年、焼失した。綾小路町尻(下京区矢田町)に移る。少なくとも室町時代までに矢田町に移ったともいう。
 安土・桃山時代、1579年、1570年とも、豊臣秀吉の都市改造により、現在の地に移されたという。
 江戸時代、寛文年間(1661-1673)、第112代・霊元天皇の命により、僧・宝山が洛外・六地蔵以外の48か寺の地蔵尊を選んだ洛陽四十八願所の霊場のひとつになる。
 宝永年間(1704-1711)、焼失する。
 天明年間(1781-1789)、焼失した。
 元治年間(1864-1865)、焼失している。
◆大和・矢田寺 大和郡山の矢田寺は、正式には矢田山金剛山寺といい、高野山真言宗別格本山の寺になる。当初は十一面観世音菩薩と吉祥天女を本尊とした。
 飛鳥時代、第40代・天武天皇(大海人皇子、おおあまのみこ)は、672年、壬申の乱戦勝祈願のために矢田山に登り、679年、その勅願により創建された。
 平安時代、820年頃、満慶(満米)が住持となる。満慶、本尊にまつわる伝承がある。
 朝廷の参議で閻魔大王に仕えたという小野篁(おの の たかむら、802-853)は、閻魔大王から冥界にはよい伝戒師がいないとして、菩薩戒を授ける者を尋ねられる。また、閻魔大王は前世の禍により、気の憂いを除く手立てを小野篁に尋ねた。篁は大和・矢田寺の師・満慶(満米)を紹介し、矢田寺に遣わされる。満慶は冥途に出かけ、閻魔大王に菩薩戒を授けた。大王が礼を与えるというと、満慶は地獄を訪れたいと申し出て許される。大王は、人々に代わり地獄の阿鼻城で責め苦を受ける地蔵菩薩を見せた。また、炎熱地獄で亡者を救出する一人の僧がおり、自らを地蔵菩薩であるという。地蔵菩薩は、釈迦の教えに従い、衆生の苦しみを慈悲により救っているという。僧は満慶に対し、娑婆に帰ったなら、地蔵菩薩像を造るようにと伝え、自らは衆生済度をすると告げた。満慶はその姿を写し、矢田寺の本尊としたという。
 また、閻魔大王は、土産の箱(枡)を与えた。箱には米が入っており、その米は取り出しても減ることがなく悔い逸れがなかったという。以来、満慶は満米(まんべい/まんまい)上人と呼ばれたという。(鎌倉時代、『絹本著色矢田地蔵縁起絵巻』、『元亨釈書』)
 地蔵にまつわる逸話も残る。大和国の武士・康成は、誤って母を殺めたという。康成は、母を弔うために矢田地蔵に月参りをした。康成の死後、地獄から救済され、三日後に生き還ったという。
◆本尊 本堂の本尊「地蔵菩薩(矢田地蔵)」は、「代受苦(だいじゅく)地蔵」、「那落(奈落)化現(ならくけげん)地蔵」、「生身地蔵」ともいう。室町時代には京都六地蔵の一つとされ、地獄から亡者を救済する代苦地蔵として信仰を集めた。大和国矢田山金剛山寺から遷されたという。弥勒菩薩と地蔵の合体尊といわれ、右手で弥勒の来迎印を結ぶ。二指で輪を作り、左手には宝珠を持つ。矢田型地蔵と呼ばれる。かつて、背に火焔形光背を背負っていた。像高は約2mの立像。
 ほかに「水子地蔵」、「大日如来」、「石仏地蔵」も安置されている。
◆送り鐘 「梵鐘」は、南北朝時代、1359年に鋳造された。戦時中の金属供出により失われ、新鋳された。六道珍皇寺(東山区)の「迎え鐘」に対し、当寺は「送り鐘」と呼ばれている。当寺では、8月16日の精霊送りの日に送り鐘が撞かれる。
 死者の霊を迷わず冥土へ送る、撞(つ)く鐘として信仰され、死人が出た際、精霊送りの時にも撞かれた。
◆文化財 室町時代の紙本著色「矢田地蔵縁起絵巻」全2巻(重文)(京都国立博物館寄託)には、地獄で生身の地蔵菩薩が衆生を救済しようと、手を差延べる様が描かれている。
◆年間行事 節分(2月3日)、花まつり(4月8日)、大文字送り鐘供養・精霊送り鐘供養(8月16日)、かぼちゃ供養(12月23日)、除夜の鐘(12月31日)。


*年間行事は中止、日時変更の場合があります。
*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
*参考文献 『京都・山城寺院神社大事典』『旧版 京のお地蔵さん』『京都府の歴史散歩 上』『京都 歴史案内』『京の寺 不思議見聞録』『京都の寺社505を歩く 上』『週刊 日本の美をめぐる 48 地蔵草紙と飢餓草紙』


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しあわせ大日如来


矢田寺 〒604-8081 京都市中京区天性寺前町523-5,寺町通三条上る東側   075-241-3608  8:00-19:00
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